4月からいよいよ新社会人になる、あるいは転勤などで親元から離れて一人暮らしを始めるという瞬間は誰もが経験するものですよね。でも、新社会人の場合は一人暮らしをするには最初の関門があります。
入居に先だって必要になる初期費用がそれで、まずは家賃、そして家賃ベースで決まる敷金や礼金などが必要なため、家賃の数倍の資金が求められます。
学生時代の貯金でもあれば別ですが、とりあえずは親からの援助か借り入れでしょうか。入社後であってもコンスタントに貯蓄をしておかないと、場合によっては親に頼るケースになりかねません。
初期費用は親に助けてもらえたとしても、毎月の家賃になるとさすがにそうはいかないですよね。これが学生の一人暮らしだったら毎月の家賃も出してくれる家庭もあるでしょうが、社会人ならば話は別。毎月まとまった定額の支払いですから、それは収支計画をしっかりと組んでおくべきです。
では、一体いくらぐらいかかると思っていれば良いのか、ある程度の事前知識も仕入れておきたいところです。一人暮らしの家賃はどれくらいなもので、どれくらいの部屋に入居すればベストでしょうか?以下にその目安を紹介していきますので、参考にしてください。
一人暮らしの家賃っていくらぐらい?

これだけあれば家賃は払えるかな?
一人暮らしをするなら、家賃を抑えるためにもアパートかワンルームマンションになる人がほとんどではないでしょうか?一人暮らしで生活費が渇渇なのにわざわざ二部屋も借りる必要はありませんよね。
一人暮らしの家賃は、全国的な平均は5.5万円といわれています。これはもちろん地域によってかなりの開きがあり、東京の人気の地域になればワンルームであっても10万円は超えてきます。その反面、地方であれば2万円前後の地域もありますし、東京都内でも場所によっては5万円代で借りることができます。
もちろん部屋のグレードや築年数、駅からの距離によっても数万円単位で変わるものです。上を見ればキリがないし、下をみてもキリがない。毎月発生する固定費の家賃だからこそ、ほどほどがちょうどいいのです。人生で一番お金がかかるのが住居と食事ですからね、慎重に検討しましょう。
まず先に、自分の収入から払える家賃を逆算して割り出しておくのが現実的です。決まった収入に対してして、家賃以外の支出がいくらくらいかかるのを計算して、そこから家賃がいくらくらいまでなら暮らしていけるのかを判断しましょう。
同じ収入であっても食費や趣味にどれだけお金を回すのかによって、余裕はかなり個人差が出てきます。どれくらいの家賃の部屋にするかは、それぞれ個人の価値観やライフスタイルによります。中には「この街に住む」ということに意味を見出す人もいますからね。
家賃の目安は月収の3割以内?
よく「家賃の目安は月収の3分の1だとか、3割以内だとか」言われていますよね。これはもちろん一般論ですので、「月収の3割ちょうどの家賃だけど、ギリギリ目安以内だから問題ないでしょ!」なんていう気楽な考えでいると、あとあと生活が苦しくなる可能性もあります。
月収に余裕がある人だったら3割どころか4割の家賃でも問題なく暮らせますが、逆に新入社員の場合は、3割ちょうどだと今後に向けた貯蓄に回すことができない可能性があるため、将来に向けて余裕ある暮らしを送れなくなるかもしれません。
そもそも「家賃の目安は月収の3割以内」という言葉はバブル期に言われていた言葉。バブル崩壊から25年ほどたった今と比べたら、すでに時代遅れの価値観なのかもしれませんね。
アベノミクスで景気が上向いているとは言われるものの一般人の給料にはほとんど反映されていないのが現実。特に若手社員の給料は安いわけですから、バブル期同様の月収の3割以内で家賃を決めていたら、生活が苦しくなってもおかしくありません。
ですので、まだ金銭的に余裕がない新社会人の場合は月収ではなく手取りの収入を基準に3割以内を目安にするのがおすすめ。月収は所得税や社会保険料などが引かれる前の金額で、月収が20万円だとすると、もろもろ引いて手取りだと16万円くらいになります。
月収20万円の3割だと60,000円。そして6万円の部屋を借りた場合、実際の手取りが16万円だと残金が10万円しかありません。一方手取りベースで計算した場合、16万円の3割は4万8千円なので、16万円からその金額を引いても11万円ちょっと残ります。この1万円の差はかなり大きいですよね。

一人暮らしの部屋の家賃相場(東京23区)

日当たりのいいワンルーム
家賃は当然のことながら部屋数が多いほど高くなりますし、同じような間取りでも地域によってかなり差があります。一口に東京23区と言っても、区による家賃相場にはかなりの差があるんです。
それでは参考までに、間取りごとに区の家賃相場を比較してみましょう。23区全てを比較してもきりがありませんので、家賃相場が高い港区と渋谷区、また家賃相場が安い葛飾区と足立区の相場を紹介します。
1Rの家賃相場
- 港区…11.8万円
- 渋谷区…10.0万円
- 葛飾区…5.6万円
- 足立区…6.4万円
1Rはキッチンと部屋の間に仕切りがなく一体化した間取りのことで、ドアで仕切りがあるかどうかしか1Kとの違いがありません。
また部屋の広さが「〇帖」となっていますが、仕切りがありませんので、この「〇帖」の中にキッチンスペースの部分も含んでいます。ですので、数字だけ見てそれなりの広さがあると思ったのに、実物を見ると思ったより狭いと感じることもよくあること。
港区ではその1Kでも家賃相場が11万円もします。もちろん港区内でも10万円以下で借りられる部屋を探せば見つかりますが、それでも手取りベースで30万円ぐらいないと生活するのは難しそうですね。
逆に葛飾区では5万円代で部屋を見つけられますし、探せばもっと安く借りられる物件もあります。
1Kの家賃相場
- 港区…12.6万円
- 渋谷区…10.8万円
- 葛飾区…6.7万円
- 足立区…6.7万円
1Kはキッチンと部屋の間を「ドアで仕切られている」というのが1Rとの違い。アコーディオンカーテンなどで仕切っている場合は厳密には1Kではありません。簡易的な仕切りを付けて1Kだと言い張る不動産会社もあるので注意が必要。
部屋とキッチンの間に明確な仕切りがあるので、同じ「〇帖」でも1Rより広くなります(それをごまかすために、上のような簡易的な仕切りでごまかす不動産会社が…)。広くなる分家賃相場も上がるので、家賃相場が安い葛飾区でも5万円代の部屋はかなり少なくなってきます。
1DKの家賃相場
- 港区…14.4万円
- 渋谷区…13.1万円
- 葛飾区…7.1万円
- 足立区…7.3万円
部屋ひとつとダイニングキッチン(DK)がある間取りのこと。ダイニングキッチンとは、キッチンスペースが広くなっていて、そこにテーブルを置いて食事をとることができるもの。一人暮らしだったらこの1DKもあればスペース的には充分です。
やはりスペースに余裕ができるだけあって1Rと比べると港区では3万円、葛飾区でも2万円くらい相場が高くなってきます。金銭的に余裕がある人は問題ないですが、新社会人の場合は1Rか1Kあたりに住むのが妥当ではないでしょうか。
1LDKの家賃相場
- 港区…20.9万円
- 渋谷区…20.3万円
- 葛飾区…8.9万円
- 足立区…9.1万円
部屋ひとつとリビングダイニングキッチン(LDK)がある間取りのこと。リビングダイニングキッチンは、ダイニングキッチンよりも更に広く、ソファーを置くなどリビングとしても活用できるもの。一人暮らしで考えると、ちょっとスペース的に贅沢にも感じますね。
それもあってか家賃相場はさらに上がってきます。なんと港区では20万円越え!LDKとDKの違いに明確な規定があるわけではないので、LDKであってもDKより狭い、という物件もあります。
港区で20万円を越える相場なのにも驚きですが、葛飾区や足立区の約9万円の相場にも驚き。港区の1R物件より相場が安いので、やはりどこに住むかが家賃相場に大きく影響するようですね。葛飾区・足立区以外にも江戸川区・練馬区・板橋区、それに東京市部も家賃相場が安めなのでおすすめです。

賃貸物件の家賃相場に影響するポイント

さすがにこれは年期入り過ぎ
築年数
建物の間取りや立地条件が家賃相場の大きなポイントですが、築年数も忘れてはいけません。当然年月が経てば経年劣化しますので建物の価値も下がってくるわけです。
できることなら新築・築年数があまり経っていない築浅物件に住みたいと思いますよね。そう思うのはみんな同じ、なので築年数が3年以内の物件は人気が高く家賃が下がることはそうそうありません。ですがこれが3年過ぎてくるとちょっと変わってきます。
3年目を過ぎると1年で約1%強の家賃が下がり、築10年で約1割安くなると言われています。そしてそれ以降は、下落率は1%弱と緩やかになりますが、築20年で約2割安くなると言われています。
築年数による家賃下落の目安
- 新築~3年…現状のまま
- 築3年~10年…年に1%強下落、築10年で元の家賃の約1割低下
- 築10~…年に1%弱下落、築20年で元の家賃の約2割低下
築年数が3年を超えたあたりから徐々に家賃が安くなってくるので、家賃を抑えたい場合は築年数が経っている物件から探すのがおすすめです。
とは言っても、人気がある地域・人気がある物件の場合は築年数が経っていても入居を希望する人が多いので、家賃が安くなっていないこともしばしば。それに元々が高い家賃の場合、仮に1割安くなっても、それでも高額な家賃だったりもします。ですので過度な期待は禁物です。
それに古くなると建物の強度が心配になりますよね。いつ地震が起こるかわかりませんので耐震性はとても重要。大きな地震があると建築基準法が見直されるので、物件選びの基準にしてください。
大きな耐震基準改正
- 1978年の宮城県沖地震をきっかけに、1981年6月に改正された「新耐震基準」
- 1995年の阪神淡路大震災をきっかけに、2000年6月に改正された「新・新体制基準」
いくら古い物件が安いからと言って、1981年以前のものは避けた方がいいでしょう。できることなら2000年以降に建てられた物件に住みたいものです。
木造・鉄骨造と鉄筋コンクリート造
木造や鉄骨造と鉄筋コンクリート造では、建物の頑丈さはもちろんですが、一番違うのが『防音性』です。この防音性があるかないかで住みやすさは大きく変わってきますので、やはり家賃にも5,000~10,000円ほどの差が出てきます。月10,000円違えば年間120,000円違いますからね、それだけの防音性の違いがあります。
木造や鉄骨造は壁がボードになっているので叩けば音が響きますが、鉄筋コンクリート造は石みたいなものなので叩いても響かないし、余程の騒音じゃないと漏れません。音が漏れる場合も壁じゃなく窓からの方が多いぐらいです。
鉄筋コンクリート造以外の「木造」や「鉄骨造」は防音性が皆無に等しいので、隣の部屋の生活感や存在感がハンパありません。話し声やテレビ・音楽はガンガン聞こえてきますし、下手すると足音さえもドスドス聞こえることがあります。壁に軽くでもぶつかれば、壁ドンじゃありませんが、まさに「ドンッ」って感じです。なんか怖いです(・ω・)
隣人がまともな人なら良いですが、そうじゃなかった場合はもう地獄ですよ。隣人の騒音を気にしない者同士、もしくは他者への配慮ができる者同士が住んでいれば成り立つかもしれませんが、どちらかでも違えば共存することは無理だと思います。

私には無理でした。。
このように、防音性が比べものにならないほどの差がありますので、隣人の声・生活音を気にしたくない人や、自分が周りに迷惑をかけたくないと思っている人、隣人トラブルは避けたいという人は必ず鉄筋コンクリート造を選びましょう。

最寄駅からの距離

運動不足解消のために駅まで歩けば一石二鳥
最寄駅からの距離によっても家賃相場は変わってきます。利便性が高い方が家賃が高くなるのは当然ですので、駅に近い方が家賃が高く、離れるほどに安くなる傾向。目安としては徒歩10分(800m)で、10分以内だと相場はそれほど変わらないのですが、10分を越えてくると1割くらい安くなります。
駅に近すぎても人が多かったり電車の音が聞こえたりと、何かとうるさいもの。さらに幹線道路も近くにあれば車の音や排気ガスもありますので、駅に近いからと言っても必ずしもいい物件とは限りません。どうせなら駅から徒歩15分くらいの物件にした方が、帰宅後のんびりできるかもしれませんね。
また、築年数が経った物件の家賃の下落率も、駅から離れているほど下落率が大きい傾向です。
ユニットバス物件

シャワーついでに掃除もできちゃう!?
ユニットバスとは、あらかじめ浴室部分を工場で製作しておき、それを現場に搬入して組み立てる方式の浴室です。よくあるのがトイレもセットになっているタイプですが、バストイレ別になっているユニットバスも存在しています。また逆にトイレだけでなく洗面台もセットになっているタイプもあり、それを3点ユニットバスと言います。
特に3点ユニットバスの部屋は、工費も安く場所も取らないのでその分家賃も安くなっている傾向。「バストイレ別」を希望する人が多いためか人気も低く、そういった要因も含めて、同様の立地条件の物件よりも家賃が5%~10%安くなる傾向があります。
一人暮らしの家賃まとめ
部屋を決めるにあたって一番重要なのが家賃。毎月決まった金額の支出になるので、まず自分の収入から無理なく支払えるかどうかが大切です。
収入の3割が家賃の目安と言われていますが、それだとなかなかいい物件に巡り合えないのも現実。会社から家賃補助がある場合は別ですが、そうでなければ度条件をある程度は妥協する必要が出てきますね。
人気の地域は選ばずに、築年数も10年くらい経過していて、駅から徒歩15分ほど。間取りも1Rか1Kでユニットバス。そうするだけでも相場より安い物件を探し当てることができると思います。
そうやって毎月の支出を抑えることで生活に余裕ができ、貯蓄に回すこともできるかもしれません。ゆとりある生活は人生設計においても大切なこと。まず最初は高望みをし過ぎずに身の丈に合った物件を探しましょう。


